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会社経営日記

会社経営をする中で感じたことや学びを綴ります。

給与を上げると社員に打診したら断られた話

人が行動する動機を正しく理解することはとても大切だな、と実感した出来事。(この記事は約3分で読めます)

僕は日本のとあるIT企業で中東エリアの責任者をしているが、今日管轄内の国の現地法人の代表(外国人)に、"目標達成したら今の固定給とは別にボーナスが欲しいか"と聞いたら、"いやいらない"と言われた。

そもそもなぜそういう質問を彼女にしたかという背景だが、一言でいうと"目標達成に向けもっと真剣に働いて欲しい"と思ったからだ。彼女は入社以来1度も目標達成をしておらず、かつ目標達成に向けて真剣に考え行動しているかという視点で見た場合、僕の目にはそれはNoに思えた。ならばと思い、もっと努力をしてもらうべく今回の打診をした。だが断られた。

目標達成をして何も見返りがないという場合と、目標達成をしたらボーナスがもらえるいう場合、当然多くの人が後者の条件の方が、目標達成のために努力する動機の繋がると考えていた私にとって、その回答は完全に想定外であった。

そこでWhy not?とボーナスを断る理由を彼女に尋ねると、"我々はまだこの国ではスタートアップ。もっと急成長が必要で、私のために使う金があれば、それを新しい社員を採用したり、会社の成長のための投資に使うべきだと考えている。それが今我々がやるべきことだ"と回答してきた。

この回答に僕は驚いた。何に驚いたかと言うと、ボーナスを断ったという部分は勿論だが、彼女が会社の代表であるという意識をきちんと持っていた、という点だ。これまでの彼女の仕事ぶりから判断するに、まさか彼女がここまでの目線の高さを持っているとは思っていなかった。
ここまでの話だと"あー良い代表で良かったじゃん、これで彼女に安心して会社を任せられるね"と思われるかもしれないが、そうではない。ここで新たな疑問が浮かんでくる。彼女には一経営者としての意識があり、責任感もある。ただその意識が行動に表れないのはなぜか、という疑問である。ここで2つの仮説が考えられる。

1つめは、意識は高いが、"なんらかの理由"でそれが彼女の行動についてきていない場合。2つめは、そもそも彼女なりに精一杯の努力をしているが、僕自身が彼女の行動を過小評価しているという場合。

1の場合は意識と行動のGAPを生んでいる"なんらかの理由"が何かを考えないといけないし、2の場合は、目標達成のためにどういう行動を取っているのかを、僕自身が今までより更によく観察し、彼女にも説明してもらう必要がある。2は僕自身が努力をすることなので、早速今日から取り組めばよい。では1の仮説に対してどう行動するか。

1の場合で考えられるのは、行動に移せない"なんらかの理由"が、行動したいが、"どう行動に移したら良いのかがわからない"、という理由。これに対する解決方法はとても簡単で、行動の方法、つまりスキルを教えてあげる、ということだ。
英語を話せるようになって世界で活躍したい!という意識を既に持っている学生が、でも最短距離で英語を習得する方法がわかりません、という場合、海外留学だの、まずは五文型から理解するだの、TOEICに申し込んで現状の実力を数値化してみるなど、英語習得の道のりを示してあげれば、あとは本人が努力をする。つまり意識を変えるのではなく、スキルを教える。英語を話せるようになって世界で活躍したい!という意識を既に持っている学生に対して、英語を習得すれば、外資で仕事ができるチャンスも広がるし、給与も高くなる可能性が増すし、海外で活躍できるチャンスも広がるから英語を頑張って勉強しよう!という動機付けは全く意味がない。ここでやるべきことは"意識付け"ではなく"スキル習得の手助け"だ。

ということで人をモチベートして、ある行動をして欲しい場合、
その人の行動の動機、モチベーションの源を正しく理解するというのはとても大切で、それを見誤ると良かれと思ってやったことが、それがきっかけで逆にディモチベートしてしまい、現状より更に悪い結果を生みかねない、逆に言うと、それを正しく理解することで、かける必要のない無駄なお金や時間は一切かけずに課題解決に繋がる行動を人にしてもらえる、ということを実感した出来事であった。
もっと部下や同僚に良い仕事をして欲しいビジネスパーソンの方は、その人の"行動の動機"をもう一度考えたり、正しく理解することに努めてみてください。僕はこれを機に、昔読んで内容をほぼ忘れている皆さんご存知デール カーネギーさんの"人を動かす" を再読してみます。